2010年9月20日月曜日

山種美術館で炎舞を見た


9/18(土)、山種美術館に行きました。
http://www.yamatane-museum.or.jp/

ここは旧山種証券創立者の山崎種二氏が設立した美術館。
近代日本画がたいへん充実している。
とくに速水御舟の炎舞があるのです。(写真1)
写実といえば、洋画の岸田劉生、日本画の速水御舟と謂われます。

以下、山種美術館HPより作品解説。
《炎舞》は昭和52(1977)年に重要文化財に指定され、御舟の最高傑作として、また近代日本画史上における傑作としても評価の高い作品である。
作品の制作にあたっては、大正14(1925)年の7月から9月にかけて約3ヶ月間家族と共に滞在した軽井沢での取材をもとにしている。毎晩、焚き火をたき、そこに群がる蛾を写生したり、採集した蛾を室内で写生したという。蛾に関しては克明な写生がいまも残されている。

私の鑑賞のポイント。
まず、炎に引き寄せられる蛾の絶妙な美しさ!写実・技巧の凄みを感じます。
よっく見ると羽の後ろのほうをちょっとぼやかせてほんとに羽ばたいているように見せているわけです。
全ての蛾がきれいに正面、というか背中を見せています。ここらへんに日本画の様式美がうかがえます。
蛾たちの配置や傾きの絶妙さを見ましょう。僕にはカンディンスキーやミロの構図が浮かんできます。

次に炎の下部を見ましょう。この炎の描き方の見事さを堪能しましょう。
なんてすばらしいんでしょう。色合いが微妙に変化しています。明るい部分と暗い部分、美しく身をくねらせる炎たち。
この炎は密教系の不動明王や大日如来の憤怒の相貌に描かれる炎を思わせます。人間の宿業、悪業を燃やし尽くす炎です。人間存在の奥深くに隠れている業因業火を感じます。曼荼羅を彷彿とさせます。
そして上部に目をやると、炎が渦を巻いて儚げに立ち昇っていきます。
ああ、なんてうまく描けていることでしょう。

私にはこれはまさに現代日本の宗教画に思えます。

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